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「脳を知る」・「脳を守る」合同シンポジウム要旨 脳の機能とその異常  18-18
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脳由来神経栄養因子慢性投与による孤立培養皮質ニューロンの機能的シナプス部位の増大
高田 直樹1)2), 谷口 暢章1)2), 安田 浩樹1)2), 木村 文隆1)2), 津本 忠治1)2)
1) 阪大院医
2) CREST·JST
脳由来神経栄養因子(BDNF)の慢性投与がラット大脳皮質視覚野から培養した孤立ニューロンの興奮性後シナプス電流(excitatory postsynaptic current,EPSC)にどのような影響を与えるのかを調べた。その結果、BDNFの慢性投与によってAMPA型およびNMDA型グルタミン酸受容体由来のevoked EPSCの増大が認められた。また、miniature EPSCの頻度の増大も見られたが、その振幅は減少した。さらに、機能的なシナプス部位を選択的に染色する蛍光色素(FM1-43)を用いて調べたところ、BDNF投与群でより多くのシナプス形成が認められた。これらの結果から、慢性投与したBDNFは主にシナプスの数を増加させることによってシナプス反応を増大し、その結果、興奮性のシナプス結合を強化することが示唆された。

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