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「脳を知る」・「脳を守る」合同シンポジウム要旨 脳の機能とその異常  15-15
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ウイルス性脳障害の発症機構
長嶋 和郎1)
1) 北海道大学医学部神経病態学講座分子細胞病理学
JCVの神経親和性を規定する因子を明らかにするため、細胞側の受容体での選択性、および核内転写調節過程での特異性に関与する分子を同定することを目的としている。これまでにJCVの吸着から転写までの機構を明らかにした。JCV entry assayにより、細胞膜でのJCV受容体は種を超えて幅広く存在していることが判明した。受容体の主分子としてはシアル酸を複数個持つ糖脂質および糖蛋白であり、その一候補としてintegrinが同定された。また、副分子としてスルファチドの関与が認められた。ウイルス側の結合分子は外核蛋白VP1であった。VP1にてintegrinと結合したJCVは、clathrin pathwayを経て10分後にはvirionの形態で核内に到達していた。また転写調節因子としてこれまで機能が不明であったJCV後期蛋白の一つであるagnoproteinがJCV regulatory regionに結合しJCVの転写を亢進させるということが明らかとなった。

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