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「脳を知る」・「脳を守る」合同シンポジウム要旨 脳の機能とその異常  14-14
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精神分裂病における神経伝達の異常を探る
須原 哲也1)
1) 放射線医学総合研究所高度診断機能研究ステーション
精神分裂病のPETによるドーパミンD2受容体測定はこれまで線条体のみで測定され、対照群との間に有意差は認めないという報告が多い。一方皮質機能の異常が指摘されているにもかかわらず、精神分裂病の線条体外のドーパミンD2受容体を測定した報告はないのが現状である。我々は説明の上同意の得られた11名の未治療精神分裂病患者の線条体外ドーパミンD2受容体を[11C]FLB457をリガンドとしてPETによって測定した。その結果前部帯状回に有意な低下が認められ、また精神分裂病の臨床症状評価とドーパミンD2受容体結合能を検討した結果、陽性症状と負の相関が見いだされた。前部帯状回は、精神分裂病の死後脳研究において介在ニューロンの脱落あるいは機能不全が報告されている部位であり、またドーパミンD2受容体が錐体細胞とGABA介在ニューロン上に発現していることから、今回観察された精神分裂病におけるD2受容体結合の低下は、GABA介在ニューロンの機能低下といったドーパミン受容体を介した調節機能の障害を考えることができる。

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