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「脳を知る」・「脳を守る」合同シンポジウム要旨 脳の機能とその異常  11-11
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Bcl-2ファミリーたんぱくによる細胞死制御と脊髄性筋萎縮症
辻本 賀英1)
1) 大阪大学大学院医学系研究科遺伝子学研究部
細胞死(アポトーシス)の脱制御が、神経変性疾患を含む多くの疾患の原因になっていることが知られており、アポトーシスの制御を通した治療が注目されている。脊髄性筋萎縮症(SMA)は脊髄運動ニューロンの変性脱落を特徴とする遺伝疾患であり、ポジショナルクローニング法により疾患原因遺伝子smnが同定された。Smnたんぱくの機能として、スプライシングに関わるなど幾つかのモデルが提唱されているが、我々はSmnの機能としてBcl-2への結合を通したアポトーシス抑制機能の増強を提示してきた。Bcl-2ファミリーは細胞の生死決定制御に関わる代表的な因子であり、その主機能はミトコンドリアからの細胞死シグナル伝達分子(シトクロムcなど)の放出をダイレクトに制御することである。本シンポジウムでは、特にBcl-2ファミリーたんぱくの「VDACなどのミトコンドリア膜チャネルの制御因子」としての生化学的機能について紹介し、同時にSmn-Bcl-2相互作用に関する知見に触れながら、細胞の生死決定機構および脊髄性筋萎縮症の発症メカニズムについて考察する。

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