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「極限環境状態における現象」研究領域シンポジウム  66-67
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低次元異常金属の開発
—高温超伝導体の擬ギャップとストライプ—

佐藤 正俊1), 伊藤 雅典1), 原科 浩1), 安井 幸夫1), 小林 義明1)
1) 名大大学院理学研究科
銅酸化物の超伝導発現機構について中性子散乱、NMR、さらには輸送特性、熱特性等、多様な手段によって研究してきた結果について紹介する。図1は高温超伝導体の物理をごく簡単に理解するために我々が提案し、よく用いてきた相図である。温度を降下させるとき、特徴的温度T0あたりから反強磁性相関が成長し、それに伴ってスピン一重項電子対が徐々に形成され、その結果、磁気励起や電子励起に擬ギャップが生じること、さらにTSGあたりでその一重項対相関が反強磁性相関をしのぎ、Tcで超伝導が実現しスピン一重項電子対が超伝導クーパー対に(擬ギャップが超伝導ギャップへと)発達すること等がこの図の背後にこめられている。このような描像に至るまでには輸送特性や帯磁率、中性子非弾性散乱実験による磁気励起スペクトルや格子振動(フォノン)の特徴的挙動等の観測に加え、スピンギャップをもつ量子スピン系を用いた中性子散乱やNMR研究が大きく役立ってきた。

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