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「極限環境状態における現象」研究領域シンポジウム  62-63
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低次元異常金属の開発
—高温超伝導体の理論的研究—

佐藤 正俊1), 小林 晃人2), 鶴田 篤史2), 松浦 民房2), 黒田 義浩2)
1) 名大大学院理学研究科
2) 名大
銅酸化物高温超伝導体では超伝導相だけでなく金属相において特徴的な物性が観測されています。超伝導相では100Kを超える高い超伝導転移温度Tcと異方的な超伝導ギャップが観測されています。これは従来の超伝導の理論(BCS理論)では説明がつかない新しい超伝導です。またTcより高温側の幅広い領域は異常金属相と呼ばれています[1]。ここでは通常の金属とは全く異なる様々な物性が観測されています。中でも異常金属の本質と考えられる擬ギャップは核磁気共鳴(NMR)、中性子非弾性散乱、トンネルスペクトル、角度分解型光電子分光(ARPES)など様々な手段で観測され、注目を集めてきました。擬ギャップとは超伝導ギャップと同じ異方性を持つ緩やかなギャップ構造です。常温から出現して温度を下げると共に徐々に成長し、Tcで超伝導ギャップに繋がります。従って擬ギャップは超伝導の先駆現象であると考えるのが自然です。しかし従来の超伝導では先駆現象はTcのごく近傍でしか現れないことが知られており、擬ギャップのメカニズムは超伝導相のそれと共に大きな謎でした。

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