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「極限環境状態における現象」研究領域シンポジウム  60-61
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低次元異常金属の開発
ラマン散乱による高温超伝導体の電子状態—磁気励起、格子振動との相互作用

佐藤 正俊1), 水貝 俊治1)
1) 名大大学院理学研究科
高温超伝導は反強磁性銅酸化物に正孔又は電子のキャリアーをドープすることにより実現される。本年で高温超伝導が発見されてから15年になるが、その間に多くの実験事実と理論的研究が蓄積されてきた。その中でラマン散乱による研究では、高エネルギーの磁気励起散乱から高温超伝導銅酸化物の反強磁性交換相互作用が1000 cm-1にも達する大きさであること、異方的超伝導ギャップを持つことなど重要な発見がなされてきた。しかしながらキャリアー濃度を連続的に変化させたときの有効交換相互作用、超伝導ギャップ、擬ギャップの変化や、対称性の変化などはほとんど研究されてこなかった。本研究では坩堝からの不純物混入のない赤外線加熱浮遊帯溶融法により作製したLa2-xSrxCuO4(LSCO), Bi2Sr2CuO6(Bi2201), Bi2Sr2CaCu2O8(Bi2212)大型単結晶及びY2O3坩堝を使ったYBa2Cu3Oy(YBCO)単結晶を使い、1 eV近くの高エネルギーまでの精密ラマン分光を行うことにより電子励起、磁気励起、格子振動の総合的理解を得ることが出来た。

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