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「極限環境状態における現象」研究領域シンポジウム  45-48
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磁気力を利用した仮想的可変重力場におけるタンパク質の結晶成長
安宅 光雄1)
1) 産総研人間系特別研究体
ゲノムを全解読する試みのいくつかが成功し、その次に来るポスト·ゲノムが話題に上っている。DNAの二重らせん構造が、生物における情報の保持と世代間伝達を行うことが判明してから約50年経って、ある生物種のDNAに含まれている情報が総体として明らかになった(ゲノムの全解読)。その情報とは、具体的には種々のタンパク質を作るための、アミノ酸の配列である。すなわちゲノム情報は、タンパク質を仲介として、生命活動を支配している。
タンパク質の働きは、個々のタンパク質分子の形(3次元的立体構造)に基礎を置いている。その形を知る手段は、それぞれのタンパク質単結晶を用いるX線構造解析(X線結晶学)である(ただし、これまでにデータベース化された構造の約15%は、それ以外のNMRと電子線結晶学による)。ここに、タンパク質単結晶を作る必要と意義がある。タンパク質工学により、大腸菌などを用いて別種の生物のタンパク質を大量発現させることが可能となり、さらに人工的に改変したり設計したりしたタンパク質まで作れる時代が来るに及び、立体構造の解明が期待されるタンパク質の種類は飛躍的に増大しつつある。

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