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「極限環境状態における現象」研究領域シンポジウム  29-32
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超過冷却状態の実現と新機能材料創製
—物質·材料開発の新たなブレークスルーを目指す—

戸叶 一正1)
1) 物質·材料研究機構材料基盤研究センター
結晶が融液から晶出するためには、核発生と結晶成長の駆動力として大なり小なり過冷却(融液の温度が融点より低い状態)を必要とする。通常の坩堝を用いた溶解·凝固では、坩堝壁を優先サイトとするいわゆる不均一核生成のため、わずかの過冷却でも結晶核が生じ、それが成長することによって全体が結晶化する。しかし、坩堝を用いない浮遊溶融凝固すなわち無容器プロセスでは通常では得られないような大きな過冷却が生ずる。このような大過冷却状態から凝固させた場合、それこそ通常では得られないような相の生成、あるいは全く新しいプロセスが可能となる。本研究ではこのような超過冷却状態の実現と、そこからの凝固による新物質の創成及びそれらに関わる新しいプロセスの確立を目指している。研究は、(独)物質·材料研究機構と文部科学省宇宙科学研究所(栗林一彦教授)との共同で分担しながら行っている。
過冷却を得る手段として、電磁浮遊炉、ガスジェット音波浮遊炉、スプラットクールなどの既存装置や技術を活用するとともに、静電浮遊炉および落下管装置を新たに開発し、過冷却状態に関する幅広い実験データの蓄積と幅広い視野からの解析を進めている。また材料としては、超伝導、半導体、光学材料、磁性料等幅広い分野の材料を対象にしている。以下、最近現在までに得られている成果の一部を紹介する。

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