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研究領域「脳を知る」のシンポジウム “脳神経科学の最先端2001”  8-8
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シナプス形成と脳高次機能
三品 昌美1)
1) 東京大学大学院医学系研究科
GluRε1型NMDA受容体欠損マウスでは、シナプス伝達の長期増強誘導と閾値文脈依存学習の閾値がともに上昇した。一方、小脳プルキニエ細胞特異的GluRδ2欠損マウスでは、平行線維シナプスの長期抑圧と瞬目反射条件付け学習とが障害された。しかし、条件刺激と無条件刺激との間に時間間隔を置くトレース課題は、GluRδ2欠損マウスでは正常であるが、GluRε1欠損マウスが障害を示した。したがって、刺激のタイミングに応じて脳内のシステムが使い分けられていることを見出した。また、GluRε2型NMDA受容体は脳の体性感覚地図形成に関与し、GluRδ2は平行線維シナプスの安定化と登上線維シナプス整備に関与することから、シナプス形成整備と記憶·学習は分子基盤を共有すると考えられる。この仮説を検証するために、ゼブラフィッシュ分子遺伝学による脳形成遺伝子探索系と脳の部位時期特異時標的遺伝子組換え系を開発した。

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