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研究領域「脳を知る」のシンポジウム “脳神経科学の最先端2001”  7-7
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形態形成におけるADAMファミリーの役割
瀬原 淳子1)
1) 京都大学再生医科学研究所
神経系形成の遺伝的プログラムと可塑性にかかわる機構の中で、私達のグループが着目するのは、そこに関与するシグナル分子やそのリセプターなどの膜分子の、タンパク分解によるプロセシング制御である。私達は、近年ADAM(A disintegrin and metalloprotease、メタロプロテアーゼおよびディスインテグリンドメインを有する)ファミリーに属する膜型プロテアーゼ、メルトリンα·β·γを同定し、それらの役割を検討してきたが、その中で、メルトリンβが膜型ErbBリガンドで心臓の形成や神経分化、シナプス形成に関与するニューレグリンのプロセシングを行うことを示した。ショウジョウバエでneurogenic遺伝子として同定されたkuzbanianがNotchリガンドのプロセシング制御を行うこと、TNFαのプロセシングをおこなう酵素(TACE)がやはりこのファミリーに属することなどが報告され、ADAMファミリーとりわけそのプロテアーゼが、細胞間相互作用の時間的·空間的なチューニングを担いうる、新しいタイプの形態形成制御因子であることが明らかになってきている。本シンポジウムでは、メルトリンの役割と機能を中心に、ADAMファミリーのかかわる形態形成制御機構を考察する。

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