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研究領域「脳を知る」のシンポジウム “脳神経科学の最先端2001”  5-5
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脳神経系で発現するCNR/protocadherinファミリーの解析
八木 健1)
1) 大阪大学細胞生体工学センター
神経系での機能に関わる分子的基盤を明らかにする目的で、我々はマウス個体レベルでの遺伝子ターゲティング法を開発し、Fynが脳機能に関わる分子であることを明らかにしてきた。また、このFynと共役して機能する分子を解析した結果、新規カドヘリンであるCNRファミリーを得ることに成功した。このCNRファミリーは、1)シナプスに存在すること、2)脳の階層構造形成に関わるReelinに対する多重受容体として機能していること、3)可変領域と定常領域からなる免疫グロブリンやT細胞受容体と似た遺伝子構造をとっていること、4)脳発達過程でCNR3の転写産物には体細胞突然変異が蓄積されること、が明らかとなっている。これらの分子的特徴は遺伝子レベルでの構造と脳の機能との関連性を捉える上で興味深いものである。また、このCNRファミリーはゲノム構造の解析より遺伝子クラスターをつくるprotocadherinと隣接しており、CNR/protocadherinファミリーとして一群の遺伝子クラスターをつくっていることが明かとなった。現在我々は、このCNR/protocadherinのゲノム構造よりもたらされる独自な遺伝子発現系の解析と脳神経形成への分子メカニズムの関与について解析を行っている。

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