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研究領域「脳を知る」のシンポジウム “脳神経科学の最先端2001”  4-4
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アミロイドβ蛋白の産生·凝集·毒性発現機構への新たな視点
柳澤 勝彦1)
1) 国立長寿医療研究センター
アミロイドβ蛋白(Aβ)の脳内蓄積はアルツハイマー病(AD)成立の物質的基盤をなすと考えられる。しかし、その産生機構の実態は不明であり、生理的代謝産物であるAβが可溶性を失い異常凝集し、神経細胞を傷害する分子過程の詳細も明らかにされていない。我々は、これらの課題に対して、分子細胞生物学的アプローチを試み、Aβの細胞内産生には基質(アミロイド前駆体蛋白)と酵素(γ-secretase)以外の蛋白分子が調節因子として働いていること、また、Aβの異常凝集ならびに毒性発現には、Aβと神経細胞膜構成脂質分子であるGM1ガングリオシドおよびコレステロールとの相互作用が重要な役割を果たしていることを示す事実を確認した。本講演においては、ADの主要病型である孤発性ADの病態を考える上でのコレステロールの重要性を指摘したい。

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