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研究領域「脳を知る」のシンポジウム “脳神経科学の最先端2001”  4-4
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アミロイドβタンパクの産生と蓄積
井原 康夫1)
1) 東京大学大学院医学系研究科
アミロイドβ蛋白(Aβ)の脳内蓄積はアルツハイマー病(AD)の最初期におこる現象であり、神経原線維変化、神経細胞脱落の原因となっていると考えられている。われわれはまず、Aβが脳内にどのように蓄積してくるかを多数のヒト剖検脳を用いて解析した。その結果、多くのヒトにおいて、40歳以降指数関数的に蓄積してくることが、明かとなった。危険因子であるアポEとの関係をみると、E4を有するヒトでは、Aβ蓄積の立ち上がりが10年以上早いことが明かとなった。おそらく、Aβの蓄積が早期から起こることがこの危険因子の意味であろうと考えられた。またAβの蓄積は、低密度膜画分のAβの貯留とよく相関しており、この低密度膜画分が細胞外のアミロイド蓄積に関して何らかの役割をはたしていると考えられた。

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