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研究領域「脳を知る」のシンポジウム “脳神経科学の最先端2001”  24-24
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ホモロジーモデリングによるNaK-ATPaseのイオン結合部位
小川 治夫1), 豊島 近1)
1) 東大·分生研
NaK-ATPaseはP型ATPaseを代表するイオンポンプであり、全ての哺乳類の細胞に存在する。ATP1分子の消費に伴い、3個のNaイオンを細胞外へ、2個のKイオンを細胞内へ能動輸送を行い、膜内外の電位差を生じさせる。即ち、生命の維持には不可欠な膜蛋白質である。P型ATPaseファミリーの原子構造は、長い間明らかにされてこなかったが、昨年我々により筋小胞体Ca-ATPaseのCaイオンが結合した状態の構造が2.6Å分解能で明らかになった。また、最近当研究室では、Caイオン非存在下、Mg/F(リン酸アナログ)との複合体のX線結晶解析に成功した。これら筋小胞体Ca-ATPaseの2状態は、それぞれNaK-ATPaseのNaイオン結合状態、Kイオン結合状態に相当する。そこで、NaK-ATPaseのαサブユニットのホモロジーモデリングを筋小胞体Ca-ATPaseの2構造を基に行った。算出されたモデルは、(1)NaイオンとKイオンの輸送される数の違い(Naイオンは3個で、Kイオンは2個)、(2)2つのイオンの結合定数が異なること(NaイオンはmM-1オーダー、KイオンはμM-1オーダー)を説明できた。また、モデルは多くの変異体データや、生化学的データを説明できるものであった。

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