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研究領域「脳を知る」のシンポジウム “脳神経科学の最先端2001”  17-17
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嗅球軸索の短距離ガイダンスは反発性因子Slitとは独立に機能する
平田 たつみ1), 藤澤 肇2), Jane Y. Wu3), Yi Rao3)
1) 国立遺伝学研究所
2) 名古屋大学大学院
3) Washington Univ. School of Medicine
発生時、嗅球の軸索は終脳の外側を伸長して、嗅索を形成する。この軸索のガイドには2種類の機構が示唆されていた。1つは、中隔部から分泌される拡散性反発因子Slitで、これが嗅球軸索を外側に方向づける可能性が考えられた。もう一つは、予定嗅索領域に存在するlot細胞が生み出す短距離性ガイドシグナルで、その分子的な本体は不明であった。本研究では、これらの2つのガイド機構の関係を調べた。具体的には、終脳器官培養下でSlitの異所的添加や機能阻害を行って、lot細胞による短距離性ガイドに対する影響を検討した。その結果、これら2つの機構は、それぞれ独立に、嗅球軸索をガイドしている事が示された。また本研究により、中隔部から分泌されるSlitが、嗅球軸索のガイドに必要でない可能性が示唆された。

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