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研究領域「脳を知る」のシンポジウム “脳神経科学の最先端2001”  13-13
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脈絡叢はSlit2を介して嗅球僧帽細胞の軸索を反発する
玉田 篤史1), 村上 富士夫1)2)3)
1) 基礎生物学研究所·行動制御
2) 大阪大学大学院·基礎工学研究科·脳科学
3) CREST·JST
脈絡叢は側脳室、第3および第4脳室内に存在する組織であり、胎生期に終脳·間脳境界部、間脳蓋板および後脳蓋板の脳室内への陥入により生じる。我々はこれまでに胎生期ラットの脈絡叢上皮組織が拡散性分子を分泌することにより、視床上部および嗅球僧帽細胞の軸索を反発する作用を持つことを見いだしている。本研究では嗅球の軸索に対する脈絡叢由来の反発分子の同定を試み、脈絡叢で発現することがすでに確認出来ているSemaphorin 3FおよびSlit2の2分子について検討を行った。これらの嗅球の軸索に対する反発作用について調べた結果、Slit2のみが強い反発作用を示し、脈絡叢の反発作用を模倣できることが分かった。さらに、脈絡叢組織による反発がSlitの受容体であるRoboの細胞外ドメイン分子の存在下で阻害されることが明らかとなった。これらの結果より、Slit2が脈絡叢由来拡散性反発分子として嗅球の軸索誘導に関与することが示唆される。

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