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第4回領域シンポジウム予稿集 環境低負荷型の社会システム Social Systems for Better Environment Performance  13-18
新世代型低負荷環境保全技術による廃棄物のエネルギー化·再資源化
野池 達也


主な発表論文
1) 環境工学研究論文集, 36, (1999), 423-429
2) 水素発酵における有機性廃棄物の分解特性
3) オカラ、米糠、フスマからの水素発酵について検討した。水素発酵の間、溶解性炭水化物が消費されたのに対し、溶解性タンパク質は消費されなかった。この結果より、水素発酵には炭水化物がその基質として主に利用されていると考えられる。また、単位炭水化物からの水素収率はオカラ、米糠、フスマを用いた場合それぞれ2.54、1.29、1.73mol-H2/mol-hexoseであった。
1) J. Appl. Polym. Sci., Vol. 70, 129, 1998
2) Chemical recycling of flexible PVC by oxygen oxidation in NaOH solution at elevated temperature
3) 軟質ポリ塩化ビニルペレット(以下F-PVC)を、1∼25mol-NaOH/kg-H2O(m)、150∼260°C、Po21∼10MPaで酸素酸化処理した。F-PVCはまず脱塩化水素が起き、次いで酸化が進んだ。主な生成物はシュウ酸とベンゼンカルボン酸類の混合物とCO2であった。15mNaOH、250°C、Po25MPa、5時間の最適条件下で、F-PVC1kgを処理すると、シュウ酸320g、ベンゼンカルボン酸類はフタル酸換算で130g得られることが分かった。
1) 第35回環境工学研究フォーラム
2) 下水汚泥中の重金属類の制御手法に関する研究
3) 下水汚泥の更なる有効利用促進のためには、下水中に含まれる重金属の発生源に関して実態調査を実施し、発生機構を検討するとともに、水及び汚泥処理過程における蓄積機構を解明し、重金属の制御或いは除去方法を一連の処理プロセスの中に構築していく必要がある。本発表では、重金属発生源の現状把握、水及び汚泥処理過程における重金属蓄積の実態把握を目的として、処理人口、排除方式、処理区域面積などの異なる下水処理場について、流入下水、最初沈殿池の流入水·越流水、最初沈殿池汚泥、返送汚泥を採取し、重金属存在形態別含有量を調査した結果について報告を行った。
1) 環境工学研究論文集、Vol. 35、457-466、1998
2) 水俣湾底泥からの嫌気性水銀耐性細菌の分離と水銀耐性遺伝子の分子生物学的解析に関する研究
3) 水俣湾底泥から嫌気性培養により、26菌株の水銀耐性細菌を単離した。これらの細菌は胞子を形成する絶対嫌気性細菌であり、Clostridium属に所属していることが推定された。水銀を添加した培地において、26菌株のうち12株は活発に増殖することが確認され、強い耐性能を示した。PCR法によって増幅されたDNA断片をmerAプローブを使用したハイブリダイゼーション法による解析結果より、DNAプローブが上記のPCR産物と高温度の条件でハイブリダイズしたことから、このDNA断片は好気性細菌であるBacillus cereus RC607が保有するmerA遺伝子とある程度の相同性をもつことが示唆された。
1) Water Science and Technology, Vol. 38, 63-70, 1998
2) Effect of inoculation of iron oxidizing bacteria on elution of copper from anaerobically digested sewage sludge
3) 消化汚泥からの銅の溶出に関して、汚泥に基質として第1鉄を添加せず鉄酸化細菌のみを添加した場合の効果を回分実験により検討した。その結果、鉄酸化細菌を添加するとpH2と3では初期Cu溶出速度が添加しない場合に比較してかなり大きくなることが分かった。これは汚泥から溶出したFe(II)が鉄酸化細菌による酸化作用によって生成したFe(III)と鉄酸化細菌が汚泥中の硫化銅を酸化するためであることを明らかにした。また、硫化銅からのFe(III)による銅の溶出機構が化学量論によって説明でき、鉄酸化細菌が硫酸銅を直接酸化することを市販の硫化銅を用いた回分実験によって示した。
1) J. Biosci. Bioengin. 89: 612-614, 2000.
2) Thermostable collagenolytic activity of a novel thermophilic isolate, Bacillus sp. strain NTAP-1.
3) コラーゲンの分解を高温条件下で長期間にわたって安定に作用する耐熱性酵素を幅広く探索した。その結果、耐熱性コラーゲン分解酵素生産菌を青葉山公園の土壌から分離した。詳細な分類学的解析の結果、この微生物は好熱好酸性のグラム陰性桿菌でBacillus属に帰属された。本菌が生産するコラーゲン分解酵素はコラーゲンに特異的に作用し、また既知のコラゲナーゼと異なり、金属キレート試薬によって阻害されず、かつ反応最適pHをpH4付近に持っていた。これらの結果は、本酵素がコラーゲンに特異的な新しいタイプの酸性プロテアーゼであることを示唆している。
1) Water Science and Technology
2) Development and evaluation of risk assessment models for pathogenic microorganisms in natural water environment
3) 本論文は、都市の様々なタイプの感染リスクを定量化するために、日本での病原微生物感染についての細菌の情報を提供し、用量·反応モデルを改良し、さらにその新規な用量·反応モデルを利用した数学的なシミュレーションの結果を示すものである。改良型用量·反応モデルは、それらが従来のモデルで計算した感染リスクより0.5%から92%程度小さい値の感染リスクを示した。アウトブレークシミュレーションの結果は、高い幼児と子供の人口比率が全体の都市の感染リスクを増大させることが分かった。しかし、高齢者の人口比率は感染リスク増大に関しては重要ではなかった。