| 森林衰退に係わる大気汚染物質の計測, 動態, 制御に関する研究
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| | | | 森林衰退と大気汚染との関連性を調査している気象学, 大気化学, 分析化学, 植物生態学, 植物生理学, 微生物学の各分野の全国各地の研究者を組織化し, 共通の視点·手法でその原因解明を試みてきた。具体的には, 樹木の衰退が見られる全国4地点(丹沢·大山, 乗鞍岳, 瀬戸内海沿岸山林, 九州山岳地域)で調査をそれぞれ実施した。過去5年間(1996年 2001年)の研究結果をまとめると次のようになる。全ての地点で1)大気汚染と湿性沈着(雨, 霧および露)の輸送·拡散経路と気象要素の関連性を野外観測と数学的モデリングから検討するとともに, 2)森林生態系とくに樹冠部から土壌にかけての影響物質の沈着量と化学変化過程の野外における定量化と, 3)衰退過程にある野外の樹木の生育状態とくに光合成生産や葉内成分·生理活性の診断, そして4)影響物質の樹木に対する曝露よる衰退過程の実験的検証を行った。以上の結果から, 大気汚染と酸性降下物あるいはそれらに由来する二次的な有害物質が, 森林衰退と明確な関連性があると判断された。しかし, 樹木の衰退に直接関与する汚染物質は必ずしもすべての地域において共通ではなく, 気象条件, 人為汚染の程度, 樹種により異なることがわかった。一方, 大気汚染による衰退と, 病害虫や林床管理の有無との相互作用に関する研究も実施し, 相乗効果を評価した。 | | | |