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第1回領域シンポジウム予稿集 環境低負荷型の社会システム Social Systems for Better Environment Performance  53-60
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地球環境保全のための国際的枠組みのあり方
佐和 隆光1)
1) 京都大学経済研究所
私たちの研究プロジェクト「地球環境保全のための国際的枠組みについて」は、1997年12月1日から11日にかけて開催された気候変動枠組み条約第三回締約国会議(京都会議)において採択された京都議定書に盛り込まれた国際制度の法制度的な設計、経済的な影響、政治的な軋轢、技術的な可能性等について検討することを研究のねらいとしている。ここでいう国際制度とは、排出権取引、共同実施、クリーン開発メカニズム(CDM)等を含んでいる。
排出権取引市場をいかにして設計するか、実現しうる取引価格の予測、買い手責任と売り手責任のあり方、共同実施とCDMのベースラインの特定化、クレジットの配分のあり方、非遵守措置のあり方、途上国参加のあり方等が主たる研究テーマとなる。研究成果は学術論文にまとめるばかりでなく、温暖化問題をめぐる公式·非公式の国際会議にて報告し、わが国の環境行政にも貢献する所存である。私たちのプロジェクトの特色の一つは、経済学者、法学者、政治学者、工学者の共同研究を研究の主柱にすえるという点にある。学際的研究の必要性は唱われながら、また実際に行われてもいるのだが、成果において見るべきものが少ないのが実状である。プロジェクト終了の時点で、地球温暖化に関する学際的研究の範となることを願っている。
私たちの研究プロジェクトは3つの研究グループに分かたれている。第一グループは、国際制度の合理的設計をねらいとしており、経済学者、法学者を中心に校正される。第二グループは、発展途上諸国とわが国の国際協力のあり方についての検討をねらいとしており、国際制度のうち主としてCDMとの関わりが深い。第三グループは、温暖化対策技術の今後の可能性と途上国への技術移転の可能性の検討をねらいとしている。以下、これらの3グループ毎に経過報告等を行う。

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