| 森林衰退に係わる大気汚染物質の計測、動態、制御に関する研究
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| | | | 本研究では、全国各地で、森林衰退と大気汚染との関連性を調査している気象学、大気化学、分析化学、植物生態学、植物生理学、微生物学の各分野の研究者を組織化し、共通の視点·手法でその原因解明を試みる。具体的には、樹木の衰退が見られる全国4地点(丹沢·大山、乗鞍岳、瀬戸内海沿岸山林、九州山岳地域)で調査をそれぞれ実施する。過去3年間の研究結果をまとめると次のようになる。大気汚染·酸性雨·酸性霧の状況、気象要素との関連性に関する研究(野外観測)に関しては,観測した4地点とも大きな進歩があった。すなわち全ての地点で、酸性降下物および(あるいは)光化学オキシダントが、森林衰退と何らかの関連性があると推察された。一方、人工環境下における汚染物質の樹木への暴露実験(温室実験あるいはオープントップチャンバー実験)を行い、単独もしくは複数(酸性降下物、オゾン、有機酸、活性酵素種など)の汚染物質の直接影響を評価した。現時点(平成11年1月)では、暴露実験を長期間(数ヶ月から2-3年)継続して実施する必要があるため、最終的な結果および評価を得るまでに至っていないが、これらの汚染物質の暴露により、新芽の抑制、気孔の開閉度や光合成能力の変化などの影響が現れることがわかっている。 | | | |