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各種反応プロセスにおける磁気効果に関する研究
Vol. 1 (2000) p.90
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6) 火炎や燃焼過程に及ぼす強磁場の影響
水谷 幸夫1), 渕端 学1), 松岡 淑夫1), 大倉 義正1), 内海 将隆1), 篠田 修司1)
1) 近畿大学理工学部
  A. ブンゼン火炎の燃焼·排出特性
火炎や燃焼過程が電場や磁場からどのような影響を受けるのかは興味深い問題で, いくつかの参考書や解説記事で取上げられている. 中でも電場の影響については数多くの研究がなされており, 解明が進んでいるが, 磁場の影響については研究が少なく, 不明の点も少なくない.火炎や燃焼過程に及す磁場の作用は, (1)燃焼反応に及す直接的な効果, (2)勾配磁場による体積力の間接的な効果, (3)運動する荷電粒子に働くローレンツ力の間接的な効果, の三つに分けて考えるべきである. (1)の直接的な効果については,阿部と林が文献データを用いて検討しているが, 連鎖反応の形で進行する燃焼反応の主要部分への磁気効果は,2T程度の磁場では, エネルギー的に見て期待できないとしている. (2)の勾配磁場による体積力の効果については, UenoとHarada, Wakayama, その他の研究者によって火炎の変形効果が, またUenoとIwasakaによって磁場空洞内火炎に対する磁気カーテン効果が観察されているが, これはすべて, 火炎内外の不均一な濃度を持つ酸素に及す勾配磁場の体積力によるもので, 数値解析も行われている. (3)のローレンツ力に関しては, 電場の効果は観察が容易で, よく調べられているが, 磁場の効果は通常の火炎では, ほとんど確認されていない. ここでは最大磁場強度5Tの超電導マグネットを用いて層流ブンゼン火炎の燃焼特性と排出特性, 特に燃焼速度と窒素酸化物排出特性に及す磁場の効果を調べた.
B. ガソリンエンジンの燃料消費率と排出特性ガソリンエンジンの燃料供給ラインに強力な永久磁石を装着し, 燃料の磁化処理を行うと, 営業運転中のタクシーの燃料消費率に顕著な改善効果が見られたとか, ある大学の研究室で汎用小型エンジンについて実験を行ったところ, 有意な性能改善効果が見られたという報告があり, 特許の出願例も多いようである. その真偽を確かめるべく, 単シリンダー4サイクル農業用ガソリンエンジン(三菱重工製GM182L, シリンダー内径68mm, ピストン行程50mm, 排気量181cc, 定格出力3.3kWat 1800rpm, 最大出力4.4kW, 最大トルク23.14N·m at 1400rpm)の燃料供給系を図1の超電導マグネットの常温ボアに通して, 燃料消費率と窒素酸化物排出濃度の変化を測定した.

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