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各種反応プロセスにおける磁気効果に関する研究
Vol. 1 (2000) p.46
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2) 生体磁気刺激に関する研究
中山 博之1), 木吉 司2), 和田 仁2), 湯ノ口 万友3), 玉利 陽三4)
1) 科学技術振興事業団 埼玉研究室
2) 金属材料技術研究所 強磁場ステーション
3) 鹿児島大学工学部 生体工学科
4) 鹿児島工業高等専門学校 情報工学科
  近年、生体への磁気応用に関する研究は、fT(フェムトテスラ)オーダという非常に微弱な磁場を測定するMEG(Magnetoencephalography)測定や、超伝導技術の発展に伴い10[T]オーダの高い磁場が研究室レベルで手軽に得られるようになったことをきっかけに、強磁場が及ぼす生体効果やタンパク質結晶成長制御といった研究が、医学や工学の分野で幅広く報告されている。その中でも数Tオーダのパルス磁場を利用する生体磁気刺激の研究は、1985年にBarkerらによって初めて経頭蓋磁気刺激(TMS:Transcranial Magnetic Stimulation)が行われて以来、医学や工学といった幅広い分野で積極的に取り組まれている。また、上野らが開発した8の字コイルにより5[mm]の分解能での刺激が可能となったことから、MEGやfMRI(functional Magnetic Resonance Imaging)と同様に、脳機能解明のための有用なツールとして期待されている。磁気刺激のメカニズムは下記のように解釈されている。刺激コイルに大電流パルスを印加することによって、生体内に電界が二次的に誘起される。電界の空間微分の値が負になる部分(バーチャルカソード)に存在する神経0が、神経興奮の閾値を越えた場合に脱分極を起こし刺激される。実際の臨床への応用として、図-1に示すような筋電図と併用することにより、神経疾患の診断、障害性質の判定、治療効果の判定等に利用されている。また、従来の電気刺激と比較すると、生体に対する非侵襲刺激が可能、痛みが少ないといった利点がある一方、刺激の局在性が得にくい、深部への刺激が困難であるといった欠点があり、研究及び臨床応用を行う上での大きな障害となっている。そこで本共同研究では、生体への磁気応用として生体磁気刺激を取り上げ、より刺激の局在化が可能な磁気刺激コイルの開発を目指し、有限要素法による磁場解析を用いた磁気刺激解析法の確立を行ってきた。以下にその内容を報告する。

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