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平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 964
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「脳を守る」平成11年度採択研究代表者
「プリオン複製に関与する新しい因子の同定とプリオン病治療法開発への応用」

金子 清俊1)
1) 国立精神·神経センター 部長
Abstract:  我々の研究の目的は、プリオン病という核酸を介さないユニークな機構による感染症に関与する新しい分子(プロテインX)を同定すること、及びそれらを通じて有効なプリオン病の治療法を可及的速やかに開発することにある。日本における乾燥硬膜移植による医原性プリオン病並びに英国における狂牛病とそれに伴うヒトへの伝播が大きな問題となっている現在、その重要性·緊急性は論を待たない。これまでに、我々はこの新しい分子に関する様々な解析を試み、現在その同定に向けて2つのプロジェクトを進めている。ひとつは、感染性プリオンが生成されるCaveolae-like domains(CLDs)に存在する全分子に対する抗体を作成し、それを用いてプリオン生成を修飾する分子を同定するアプローチである。もうひとつのアプローチは、数個のプリオン斑というごく微量の脳内沈着物からその構成成分をすべて同定しようとする試みである。これには、超高感度の実験系が必要であるため、現在その実験系を開発中である。今後2-3年以内に、プリオン病に対する少なくとも1つの治療法の臨床応用を開始できるよう努力中である。

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