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平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 958
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「脳を守る」平成11年度採択研究代表者
「神経変性の分子機構解析に基づく新しい治療戦略の開発」

垣塚 彰1)
1) (財)大阪バイオサイエンス研究所 部長
Abstract:  本研究では、独自に開発した培養神経細胞及びトランスジェニックマウス·トランスジェニックショウジョウバエによる神経変性疾患(特にポリグルタミン病)のモデルシステムを用いて、現在治療法の全く無い神経変性疾患の治療及び発症予防のための新しい方法論を開発することを目指している。神経変性疾患は、その症状の多様性から疾患ごとに特有な分子機構に基づいて発症すると考えられてきたが、近年の分子解析の結果、多くの疾患に共通の分子機構が存在することが想定されはじめた。とすれば、一つの疾患モデルを徹底的に解析することにより、一見異なる複数の神経変性疾患に共通する神経細胞変性の分子機構を解明すること、さらに、その共通な部分を治療のターゲットとすることによって、複数の疾患を総括的に治療しうる画期的な治療法開発に繋がることが期待できる。そのために、神経細胞死における細胞死シグナル、生のシグナルを順次解明し、その知見をポリグルタミン病の疾患モデルの解析に応用する。そして、ポリグルタミン病のモデルシステムから見いだされた分子機構を別の疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症等)モデルで検討することによって、疾患間での分子機構の詳細な比較が可能となり、多くの神経変性疾患の総合的な理解·治療に向けて多大な貢献がもたらされると考えている。

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