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平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 932
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「脳を守る」平成10年度採択研究代表者
「脳関門排出輸送に基づく中枢解毒」

寺崎 哲也1)
1) 東北大学未来科学技術共同研究センター 教授
Abstract:  血液脳関門は脳毛細血管内皮細胞同士が密着結合し、さらにその周囲に周皮細胞及び星状膠細胞が覆っている。脳毛細血管内皮細胞と周皮細胞及び星状膠細胞は細胞間相互作用により、血液脳関門の機能を維持している。脳全体の0.1%しか存在しないラットの脳毛細血管内皮細胞を用いると多数の動物が必要となるが、遺伝子改変ラットを用いて条件的不死化脳毛細血管内皮細胞株、周皮細胞株及び星状膠細胞株の作製に成功した。さらに、脳毛細血管内皮細胞株と星状膠細胞株の共培養により、ヘキソース輸送系、GLUT1の発現量が約100倍誘導された。生体により近い血液脳関門実験系の構築が可能となった。これまで、血液脳関門には脳内神経伝達物質を脳から血液中へ排出する輸送系が機能していることを明らかにしてきた。今回、特に、酸性アミノ酸を排出する輸送系が機能していること及びセロトニン、ノルエピネフリン、γ- アミノイソブチル酸を運ぶ輸送担体として、SERT,NET,BGT1が血液脳関門で発現していることを明らかにした。共培養系による機能解析及び血液脳関門に発現している遺伝子をノックアウトしたマウスを作成することで、血液脳関門が「脳を守る」重要な役割を果たしていることが証明できる。

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