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平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 924
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「脳を守る」平成9年度採択研究代表者
「神経細胞における増殖制御機構の解明」

中山 敬一1)
1) 九州大学生体防御医学研究所 教授
Abstract:  神経細胞は胎児期に一過性に分裂·増殖するが、生後はほとんど増殖することなく100年近い寿命を有する特殊な細胞であり、種々の疾病によって神経細胞が死に至っても、通常はほとんど再生することはない。本プロジェクトの目的は神経細胞における増殖制御機構の特殊性を解明することであり、特に細胞周期を制御する分子群の量的制御機構を明らかにすることを主眼とする。この量的制御の点で最も重要と思われるユビキチン依存性蛋白分解機構について、私達は基礎レベルでの知見を集積しており、サイクリンEやp27Kip1といった細胞周期調節に最も大切な分子群の発現量をコントロールする機構を明らかにした。この機構の中心的分子であるSkp2をクローニングし、さらに発生工学的手法を用いて、Skp2遺伝子を人工的に破壊したマウス(Skp2ノックアウトマウス)を作製した。このマウスにおいては、染色体や中心体の複製機構に異常があり、さらなる解析が待たれる。同時に、今まで培ってきたユビキチン化蛋白質の解析技術を用いて、ポリグルタミン病の原因遺伝子産物が高度にユビキチン化することを試験管内で再現することに成功し、ユビキチン化に関わる分子群の同定に成功した。これらの分子は、ポリグルタミン病における細胞内封入体(高度にユビキチン化されている)の形成に関わっていることが明らかになりつつある。

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