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平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 921
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「脳を守る」平成9年度採択研究代表者
「脊髄性筋萎縮症発症メカニズムの解析」

辻本 賀英1)
1) 大阪大学大学院医学系研究科 教授
Abstract:  我々は、遺伝性の運動神経変性疾患の一つである脊髄性筋萎縮症の疾患原因遺伝子産物Smnが、神経細胞死を防ぐBcl-2たんぱくに結合し、その活性を促進する機能を有することを示してきたが、Bcl-2の持つ細胞死抑制機能の生化学的なメカニズムとSmnによるその機能の増強の分子メカニズムの解明を目指して研究を展開してきた。特に、Bcl-2はミトコンドリアで機能し、(神経)細胞死を誘導するファクターであるシトクロムcの細胞質への遊離を抑制することで、細胞死を抑制することを示し、さらにシトクロムcの遊離はミトコンドリア膜上に存在するチャネルVDAC(voltage-dependent anion channel)を介して起こり、Bcl-2はこのチャネルを閉口することによりシトクロムcの遊離を抑制することを明らかにした。Bcl-2の機能分子ターゲットの同定により、アポトーシス抑制を目指した薬剤の開発が可能になった。

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