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平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 916
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「脳を守る」平成9年度採択研究代表者
「Caチャネル遺伝子の変異と神経疾患」

田邊 勉1)
1) 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 教授
Abstract:  α1ACaチャネルは脳全体に広く発現しており、中枢および末梢神経系の伝達物質放出機構において中心的役割を果たしている。近年、本遺伝子の種々の変異が多彩な神経疾患とリンクしていることが明らかにされてきた。脊髄小脳失調症6型(SCA6)はその一つであり、本邦の遺伝性脊髄小脳変性症においてSCA3についで多く社会的ニーズの高い難治疾患である。本研究においては、SCA6の病態とチャネル遺伝子変異との関係を明らかにするとともに、変異α1Aチャネルおよび共存する他のタイプのCaチャネル機能の調節、制御機構の活用により神経細胞の変性脱落の阻止をはかる。そしてCa依存性の神経細胞死を最終局面とする多くの神経変性疾患の治療法開発の基盤確立を目指す。現在、2種のチャネルノックアウトマウスの作製を終了し、これらマウスの機能解析を行っている。一方SCA6の病態とチャネル遺伝子変異との関係を変異α1Aチャネルの発現制御、電流特性、活性制御などの側面から明らかにしつつある。今後、種々ノックアウトマウスの解析から得られた結果、さらに現在計画している変異Caチャネル遺伝子をシングルコピー導入したノックインマウスの解析からα1Aチャネル遺伝子疾患の治療法を模索する。本研究成果は‘イオンチャネル疾患’全般の原因究明と治療法開発に格好のモデルを提供することになると期待される。

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