TOP > 巻一覧 > 目次一覧 > 書誌事項


平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 867
[PDF (339K)] [引用文献


「脳を知る」平成9年度採択研究代表者
「Gタンパク質共役受容体の高次構造」

芳賀 達也1)
1) 東京大学大学院医学系研究科 教授
Abstract:  本研究はGタンパク質共役受容体の高次構造を明らかにし、それによって受容体の作用機構を知ると同時に、理論的にリガンドを推定し創薬への道を開くことを主目標としている。またGタンパク質共役受容体の新しいリガンド検索系の構築も目指している。バキュロウイルス·Sf9細胞系を用いてムスカリン受容体変異体を1ヶ月に約40mg発現させる系を確立した。リン脂質膜中への2次元結晶化および3次元結晶化条件の検討、特に受容体を安定に保つ界面活性剤の検索を広範囲に行っている。いくつかの結晶様構造物が生成したのでX線回折実験を試みたが、回折点が観察されるものはまだ見出されていない。膜タンパク質の結晶化条件については豊島近が筋小胞体カルシウムATPaseを用いて検討し、2.6Å 分解能での三次元構造の決定に成功した。ムスカリン受容体に結合したメタコリンの立体構造をTRNOE(Transferred Nuclear Overhauser Effect)を用いて推定した。新しいリガンドスクリーニング系として受容体·Gα融合タンパク質を用いる系を検討した。Giに共役した受容体については、簡便な結合実験でアゴニストとアンタゴニストを識別できるリガンド検索系として利用可能と考えられる。

[PDF (339K)] [引用文献

Copyright(c)2000 科学技術振興事業団