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平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 859
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「脳を知る」平成9年度採択研究代表者
「脳膜神経相関の分子機構」

裏出 良博1)
1) (財)大阪バイオサイエンス研究所 部長
Abstract:  脳膜(クモ膜)は脳や脊髄などの中枢神経系を取り囲む薄い膜状の組織であり、従来は、脳を物理的に保護し中枢神経系と末梢組織を隔てる単なる支持被膜であるとされていた。我々は、内因性睡眠物質であるプロスタグランジンD2の生合成を司るリポカリン型プロスタグランジンD合成酵素が、脳膜において活発に産生され、ヒト脳脊髄液の主要蛋白質として1960年に発見されて以来その機能や構造および産生場所が不明であった謎の蛋白質βトレースとして脳脊髄液に分泌されることを発見した。この研究結果は「脳膜と中枢神経系は脳脊髄液を介して密接な情報交換を行い、相互の機能維持に積極的に関わる」ことを示している。本研究では脳膜由来の神経調節因子·分化促進因子·神経死誘導因子とその受容体を同定し、分子レベルでの作用機構を解明する。その成果は、脳膜による中枢神経系の恒常性の維持機構を明らかにし、その機能不全による疾患の予防と治療につながる。

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