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平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 825
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「脳を知る」平成8年度採択研究代表者
「運動指令構築の脳内メカニズム」

河野 憲二1)
1) 電子技術総合研究所 首席研究官
Abstract:  動物の滑らかで素早い運動がどのようにして実現されているかを明らかにするため、眼球運動系、上肢の到達運動を対象に、電気生理学的実験、脳活動の光計測、機能的MRIによる計測と計算論に基づく解析を組み合わせて研究を進めている。運動制御の例として、輻輳開散運動の制御機構を調べた。輻輳開散運動は、ある物体を見る時に両眼の網膜像を融合させるため、両眼の網膜像のわずかな位置のずれである両眼視差によっておこる眼球運動である。覚醒しているニホンザルに両眼視差をもつ視覚刺激を見せて輻輳開散運動を誘発し、大脳MST野からニューロン活動を記録したところ、MST野のニューロン全体の活動が、視差によって誘発される輻輳開散運動のコントロールに関係していることが明らかになった。膜電位感受性色素を用いたリアルタイムオプティカルレコーディング法を開発し、運動準備期付きの上肢到達運動課題を学習させたサルの左右ターゲットへの到達運動と、その時の一次運動野の脳神経活動を実時間で光学的に同時記録した。到達運動の経過と、光学的計測によって観測された要素運動の指令を送る神経構造単位の順次の活性化は非常に良く一致することがわかった。

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