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平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 812
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「脳を知る」平成7年度採択研究代表者
「視覚認識の脳内過程」

藤田 一郎1)
1) 大阪大学大学院基礎工学研究科 教授
Abstract:  霊長類の大脳皮質における物体視覚像の処理過程を解析し、物体の認識にいたる脳内メカニズムの理解を進めることを目標とする。心理学·生理学·解剖学·分子生物学·陽電子断層撮像法(PET法)を用いてサルの視覚野とくに一次視覚野から下側頭葉皮質にいたる腹側視覚経路の機能と構造を解析している。昨年度までの研究により、「下側頭葉皮質に両眼視差を処理伝達している細胞が存在し、しかもその一部が両眼視差と形の情報の統合から計算した面の奥行き構造を伝えている」ことの証拠を得た。本年度も、この研究結果を補強、発展させる実験を中心に研究を展開した。また、下側頭葉皮質の図形特徴(形、形と色またはテクスチャーの組み合わせ)に対する選択的応答性の形成に、下側頭葉皮質内におけるGABA抑制メカニズムが貢献していることを示す研究結果がまとまった。PETグループは、サルにおける物体の部分と全体の知覚において、ヒトと同様、全体の知覚が先行することを示す心理学的証拠を得、さらに、部分の知覚、全体の知覚それぞれの場合に、下側頭葉皮質の特定の部位が活動することを見いだした。

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