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平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 808
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「脳を知る」平成7年度採択研究代表者
「脳内光受容とサーカディアンリズム」

深田 吉孝1)
1) 東京大学大学院理学系研究科 教授
Abstract:  本研究プロジェクトにおいては、光という刺激が脊椎動物の脳内に引き起こすさまざまな生理的変化の分子メカニズム解析を進めている。具体的には、光情報が概日時計の位相を調節するメカニズム(概日時計の光同調)、および脳内光受容の実体と日長識別の分子メカニズム(光周性)を中心テーマとし、光受容体·光情報伝達経路·時計発振系という3点に焦点を絞った研究を推進している。まず光受容体からのアプローチとしては、概日リズムの光位相同調や光周性(季節性の日長変化の識別)を支配すると考えられる新たな光受容蛋白質(脳深部ロドプシン·脳深部ピノプシン·脳深部および網膜水平細胞VALオプシン·松果体エクソロドプシン)を同定した。また、松果体、網膜および脳深部における光情報伝達分子の解析を進め、概日時計への光入力系が脊椎動物の視覚の光情報伝達経路とは異なる経路から成ることを示した。概日時計の発振系へのアプローチとしては、MAPキナーゼが時計発振系に重要な役割を果たすことを明らかにするとともに、ニワトリ松果体から一群の時計遺伝子を単離した。この過程で、発振系を構成すると考えられる新規の転写因子を同定した。

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