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平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 712
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「分子複合系の構築と機能」平成11年度採択研究代表者
「無機ナノ結晶·高分子系の自己組織化と生体組織誘導材料の創出」

田中 順三1)
1) 無機材質研究所 総合研究官
Abstract:  細胞の時系列にしたがって特異に組織化された有機·無機複合系細胞外マトリックスを試験管の中でナノ領域から自己組織化的に再構築する研究を行なっている。特に、「自己組織化による複合系構造の構築」を、「有機無機の界面形成→表面修飾と配位結合によるイオン/共有結合の競合·協調」および「結晶核形成時における結晶方位の規定→共有結合の方向性とイオン配列の制御」のように材料科学から視点から把握し、さらに人為的な化学結合を導入して高分子/無機系ナノコンポジットの創出を目指している。有機官能基-無機イオン相互作用についてカルシウムイオンを中心に解明し、生体組織を誘導する人工骨·歯·靭帯再建用材料の開発する。同時に生体内での組織反応を評価する。これまでに、コラーゲン繊維に対してアパタイトのc軸が整列した300μmの自己組織化体を構築し、骨単位(オステオン)に類似した構造体を得ている。この材料は、生体中で骨芽細胞と破骨細胞を誘導して、骨吸収·骨形成の代謝サイクルに取り込まれるこを確認している。また、コラーゲン間に架橋を導入して骨に近い強度をもった複合体を作製した。今後、架橋を導入すると同時に有機官能基と無機イオンの相互作用を制御して生体組織誘導材料の創出につなげる。

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