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平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 709
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「分子複合系の構築と機能」平成11年度採択研究代表者
「ハイブリッド型生理活性分子の高効率構築法の開発」

鈴木 啓介1)
1) 東京工業大学大学院理工学研究科 教授
Abstract:  天然由来の生理活性分子の中にはハイブリッド構造(生合成系を異にする複数のユニットから成る分子構造)を持つものがよく見られるが、それらの生理活性はその特有な複合構造に由来することが多い。しかし、こうした分子は既存の合成法の単なる組合わせではうまく合成できないことも多く、関連領域の進歩の妨げとなっている。したがって、そうした複合構造を自在に構築できるようにする高次の有機合成化学の登場が望まれている。この観点から、本研究はハイブリッド型化合物の合成研究を大題目とし、具体的目標として芳香族-糖-ヘテロ原子の三要素から成る複合型分子を扱うものである。基本戦略はひずみ環化合物の特性や新しいルイス酸の創製などを基盤として、新反応や新合成法の開拓を検討することにある。平成11年度の研究では芳香族およびアミノ糖の構成要素から成ると言う点で共通した二つの標的分子、ラビドマイシン(抗腫瘍性抗生物質)ならびにプラジミシン類(抗ウィルス性抗生物質)の合成研究を行った。これに関連して、特にヘテロ原子の存在下でも通用する合成反応の開拓を目指し、ベンゾシクロブテン誘導体に潜在する種々の反応性を活かした多環式の芳香族化合物や脂環式化合物の合成法を検討した。また、12年度以降に取り組む新たな合成標的を念頭に置き、新しいグループ選択的な反応についても研究した。

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