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平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 689
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「分子複合系の構築と機能」平成10年度採択研究代表者
「複合体形成に基づく膜タンパク質の機能制御」

橘 和夫1)
1) 東京大学大学院理学系研究科 教授
Abstract:  本研究課題では、本来短寿命である膜タンパク質の活性化状態を、これに親和性を有する梯子状ポリ環状エーテル系海産毒を始めとする低分子で安定化させ、この複合体の三次元構造を通して膜タンパク質の活性化に関する構造的根拠を得ることを目的とする。このため、この目的に最も適すると判断できるにも拘らず、天然よりの調達が困難なシガトキシンを化学合成し、加えてこれより得られる知見をもとに一連の構造改変体を合成して結合および活性化作用と構造との相関を得る予定である。当面はシガトキシンよりは弱いながらナトリウムチャネルに対して同一の作用様式で活性化することが知られるブレベトキシンを用い、作用検定法の精密化、光親和性標識による結合部位の決定を進めている。また分子中に同様の部分化学構造を持ちシガトキシンとは異なる未同定膜タンパク質を標的とするマイトトキシンの作用が上記ブレベトキシンにより阻害を受けることに着目し、こうしたポリ環状エーテル構造とタンパク質膜貫通部位との一般的認識機構の存在を想定し、その解明も目指している。こうした一連の研究に用いるべく、新規天然物を含めた膜タンパク質結合性環状ポリエーテル分子のライブラリー化を進める一方、光親和性標識タンパク質のタンデム質量分析による配列決定と標識部位の特定、マジック角回転などを用いる膜結合分子に関する結合様式の特定および三次元配置決定など、方法論の開発、検証、および最適化を進めている。

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