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平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 652
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「電子·光子等の機能制御」平成11年度採択研究代表者
「ネオシリコン創製に向けた構造制御と機能探索」

小田 俊理1)
1) 東京工業大学量子効果エレクトロニクス研究センター 教授
Abstract:  ナノ結晶シリコンの粒径と粒子間隔を原子スケールで制御した「ネオシリコン」は、粒子内での電子の局在化と粒子間の相互作用により、電子輸送、光放出、電子放出特性において、従来の単結晶やアモルファスを超える新物性が期待できる第3のシリコン材料と位置づけられる。デジタルプラズマプロセスやラジカル窒化などユニークな材料制御技術により「ネオシリコン」の機能を明確にすることが研究のねらいである。ナノシリコンの粒径制御は8±1nmをすでに実現し、1-2個のドットによる単電子トンネル特性や隣接ドットによる影響を観測しているが、さらにプラズマパルス条件と酸化条件の最適化により、粒径3-4nmを目指す。トンネル障壁としての表面酸化膜の重要性に関してはこれまでに明らかにしてきたが、今後直接熱窒化およびラジカル窒化法により、一層の粒子間隔制御と電気特性の向上を目指す。粒子位置の制御については、自己組織的テンプレートによる表面核の形成、電気的トラップ法を検討している。ネオシリコンの電子輸送特性については、磁場環境での測定や、極低温測定を行い、伝導機構の解明を進めている。正孔輸送や、単電子素子回路の検討も進めている。ネオシリコンからの電子放出特性に関しては、ポーラスシリコン並の効率0.8%が得られており、今後のドット形成条件、絶縁膜形成条件の最適化によりさらなる高効率化が期待できる。ホットエレクトロン注入によるバリスティック伝導機構についても検討を加えている。発光特性についても評価を開始しており、表面酸化膜による影響を考慮した検討を行う。ネオシリコンの素子応用については、超低消費電力高速動作不揮発性メモリ機能素子、システムオングラス、面電子放出素子について、目標と課題の検討を行った。

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