TOP > 巻一覧 > 目次一覧 > 書誌事項


平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 648
[PDF (670K)] [引用文献


「電子·光子等の機能制御」平成10年度採択研究代表者
「量子スケールデバイスのシステムインテグレーション」

鳳 紘一郎1)
1) 東京大学新領域創成科学研究科 教授
Abstract:  大規模集積システムの量子領域までのスケーリングを視野に入れて、量子現象もしくはこれと相似の現象を用いて大量のデータを高速に処理し実時間で柔軟な判断のできる計算システムの開発を目的とする。その演算部として、量子コンピュータと同等性能の、NP問題をも解けるプロセッサをシリコン技術の枠内で実現するねらいで、量子コンピューティングのエミュレーションを行うハードウェアエンジンをFPGAによって試作し、3量子ビットのGroverアルゴリズムを実行してその精度等の評価を行った。メモリとの間を仲介するエージェントとして、蓄積パターンとのマッチングをなるべく簡潔に集積したハードウェアで共鳴的に行う共鳴形知的エージェントの研究を進め、頭部レントゲン写真画像の特定の骨格部位を認識できる機能を実証した。大容量メモリとしては単電子効果と電子クラスタを組み合わせた電子クラスタメモリの開発を進め、特性を調整できる集積単電子メモリの実験に成功した。これらのユニット間をプログラマブルに連結できる電子場デバイスの可能性を追求するため、エア·ブリッジ形Si細線を試作してその電気的特性を評価し、自然酸化膜や吸着層によって伝導度を大幅に変調できることを見出した。今後はまずこれらの要素デバイスの中で、本来の意味での量子現象のいずれが、どの程度まで寄与できるかを見極め、全体システムとしての協調の方向を探って行きたい。

[PDF (670K)] [引用文献

Copyright(c)2000 科学技術振興事業団