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平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 643
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「電子·光子等の機能制御」平成10年度採択研究代表者
「相関エレクトロニクス」

平山 祥郎1)
1) 日本電信電話(株)物性科学基礎研究所 グループリーダー
Abstract:  分数量子ホール効果や半導体人工原子に代表されるように、半導体薄膜構造およびナノ構造においてキャリア相関が重要な役割を果たすことは物性物理では明らかである。しかし、超伝導現象や超流動現象などのように工学的にも役立つ、画期的な相関効果は半導体では未だ得られていない。半導体中でのキャリア相関が工学的にも役立つ画期的な効果を生む可能性を探るために、この研究では高品質半導体構造を用いて半導体中での新しいキャリア相関現象を追究する。具体的には、薄膜構造での強いキャリア相関によるキャリア超流動現象、結合したドット間のキャリア相関を利用した量子ビット等があげられる。H11年度は薄膜相関構造の基本になる二層二次元系、バックゲートノンドープ構造を用いたナノ構造、単一ならびに結合ドット構造の特性理解、ドット中の電子の動的挙動直接観察に向けた測定技術、キャリア相関の評価に向けたTHz·遠赤外技術、ナノスケールでの相関特性評価を可能にする低温ナノプローブ等の研究分野で進展があった。今後は、薄膜ニ層構造における独立なコンタクトの形成と相関による特異な振る舞いの確認、新しいキャリア相関が期待されるナノ構造·薄膜構造の作成と伝導特性評価、量子ビットに向けたラビ振動の測定、量子ビットに向けた理論的検討さらには低温ナノプローブ技術のキャリア特性評価への応用を進める。最終的には半導体エレクトロニクスに相関の概念を持ち込み革新的な半導体デバイスの実現を目指す、相関エレクトロニクスを提案し確立することを狙う。

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