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平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 58
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「生命活動のプログラム」平成7年度採択研究代表者
「発生·分化を規定する新規シグナル伝達ネットワーク」

松本 邦弘1)
1) 名古屋大学大学院理学研究科 教授
Abstract:  チロシンキナーゼ型細胞増殖因子受容体のシグナル伝達経路として、Ras-Raf-MAPキナーゼカスケードが、1990年代前半に解明されたことが生物学上の一大契機となり、シグナル伝達研究は生命科学の一つの先端的研究を担うようになった。TGF-βスーパーファミリー、TollファミリーやWntファミリーは、高等真核生物の発生及び分化を規定する細胞外リガンドとして不可欠の役割を果たしている。本研究グループは、TGF-βスーパーファミリーのシグナル伝達を制御するMAPキナーゼキナーゼキナーゼ(MAPKKK)として分離したTAK1(TGF-β-activated kinase)が、Tollファミリーに属するIL-1シグナル伝達経路に関与することを明らかにした。さらに、線虫のTAK1ホモログTLK-1(TAK1-Like Kinase)が、Wntシグナル伝達経路による内胚葉誘導を正に制御していることが明らかとなった。これらの成果を基に、本研究においては発生及び分化を制御するシグナル伝達経路解明を第1の目的とし、第2に分子遺伝学的手法と生化学的手法により、さらに新規シグナル伝達分子群を見い出し、新たな研究領域を創出することをめざす。これらの研究成果は、動物の形を作る発生のプログラムを解明に大きく貢献するものと期待される。

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