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平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 503
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「極限環境状態における現象」平成7年度採択研究代表者
「画素の小さいX線検出用CCDの開発研究」

常深 博1)
1) 大阪大学大学院理学研究科 教授
Abstract:  X線はその波長が短いために、光電吸収が起こると一つのX線光子が一度に多数の光電子を発生する。発生した光電子数はX線のエネルギー(波長)に比例する。こうして、CCDによりX線検出を行うと、X線の強度とそのカラー(波長)とが同時に測定できる。ビデオやデジカメなどに使われている可視光を検出するためのCCD素子は小さな画素が実現しているが、これは、可視光検出に必要な空乏層厚さが薄くても良いためである。X線を精度良くかつ効率良く検出するためには、可視光に比べて空乏層を可視光用に比べて桁で厚くし、読み出し雑音レベルを電子に換算して数個に抑える必要がある。これにより、効率の良いカラーX線検出器を目指す。従来、X線を直接CCDで検出すると、その透過力のために、また生じる一次電子が多いために、位置検出能力が上がらないと言われていた。しかし、我々の実証実験により、X線光子の入射位置に付いては、その生じる電子雲の中心位置を正確に決定できることがわかった。これは、X線検出器の位置検出能力がサブμmになる見通しがついた。今後、実時間でサブμmレベルの画像取得をするには、より高速のデータ処理能力が必要になるが、現状のCPU処理能力の高速化を見ると、近い将来十分に実現可能と思える。

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