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平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 462
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「極限環境状態における現象」平成7年度採択研究代表者
「超高純度ベースメタルの科学」

安彦 兼次1)
1) 東北大学金属材料研究所 助教授
Abstract:  本研究のねらいは、ベースメタルを超高純度化し、ベースメタルが持つ真の性質を解明することである。この目的に沿って、平成8年度より、鉄をはじめとするベースメタル、特に、純鉄および高Cr-Fe合金を対象に、
(1)超高純度化を目的としたコールドクルーシブル溶解装置、浮遊帯溶融装置、超高純度金属試験片を汚染させずに熱処理する超高真空熱処理装置および汚染を受けない状態で試験を行う高温疲労試験装置の導入
(2)超高真空技術を応用した超高純度化の研究
(3)含有する微量ガス成分不純物元素の定量分析の研究
(4)本性の解明研究
に取組んできた。その結果、これらのベースメタルは、超高純度化することにより、従来の研究の延長線上では想像できない性質を示すことが明かになってきた。特に、純鉄は、99.995%以上に高純度化すると、機械的性質、化学的性質、結晶組織、相変態等が、常識とされていたものとは全く異なることが判明した。また、高純度金属が軟質であることを利用して、従来は加工が困難であった高合金を製造し、新しい物性を見出そうという研究も進めてきた。その典型例が50∼70%Cr-Fe合金で、機械加工が可能で、高温強度、耐食性等に優れた性質を示し、学問の分野だけでなく、新しい合金として産業界からも注目されている。

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