TOP > 巻一覧 > 目次一覧 > 書誌事項


平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 348
[PDF (328K)] [引用文献


「量子効果等の物理現象」平成9年度採択研究代表者
「量子固体と非線形光学:新しい光学過程の開拓」

白田 耕藏1)
1) 電気通信大学電気通信学部 教授
Abstract:  本課題は「孤立原子/分子の量子性と凝縮系の高密度性を併せ持つ」光学媒質を実現する事により「気相の原子/分子系で発展してきた光学過程と凝縮系で発展してきた光学過程の双方の特長を兼ね備える従来の枠組みを越えた新しい非線形光学過程」を開拓する事をそのねらいとするものである。本計画では光学媒質として上記特徴を兼ね備え、量子固体としても知られる固体水素を用いる。光学過程として強い光の場により物質系に生ずるコヒーレンスを第1義的なキーワードとして、非線形光学研究からその基盤を与える分光·物性測定に関わる研究を展開している。物質中に大きなコヒーレンスを生成する事により、非線形光学過程において不可避の制約とされていた位相整合が自動的に満たされる自己誘起位相整合を既に発見した。本計画ではそれを更に発展させ制御性を持った光エレクトロニクスの手法へ一般化する試みを実験·理論の両面から行っている。また、量子固体を光共振器と組み合せることにより連続動作で強結合状態を実現することを目的として超高Q値を持つドロプレットの非線形光学の研究も行う。現在は液体水素で研究を展開しているが、共振器Q値·非線形光学の双方で従来のドロプレットの研究を凌駕する結果を得ている。一方、基礎となる固体水素の諸物性を高精度で測定するため、測定法·結晶評価法の開発から種々の物性測定を行う。更に今後の展開として、上記諸研究の発展強化と共に固体水素が様々な物質のドーピングに対して優れたマトリックスとして機能する側面に着目し、固体水素中の原子の非線形光学·レーザー物理の研究を展開する。

[PDF (328K)] [引用文献

Copyright(c)2000 科学技術振興事業団