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平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 343
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「量子効果等の物理現象」平成9年度採択研究代表者
「自己組織化量子閉じ込め構造」

讃井 浩平1)
1) 上智大学理工学部 教授
Abstract:  本研究ではヨウ化鉛八面体構造(PbI6)を基本骨格とした自己組織化層状結晶(ペロブスカイト型結晶)について、非縮退四光波混合法を用いて信号強度の入射エネルギー依存性を調べ、非線形性の起源についてより詳細な研究を行った。その結果、非線形性の起源である、Phase Space Filling、Excitation Induced Dephasing及び励起子分子の遷移双極子モーメントの比が0.5:0.25:1となることを明らかにした。また、四光波混合を用いて、光信号の時間—空間変換を行った結果、8ビットまたは4ビットの時間信号が、信号パケットごとに空間パターンに変換されることを確認した。さらに、パケット間隔は7ps、ビット間隔は1psまで縮小が可能であることが示唆された。これらの光物性と平行して、様々な次元性を持つハロゲン化鉛八面体構造(PbX6:X=Cl,Br,I)を基本骨格とする量子閉じ込め構造の合成を行った。その結果、有機カチオンを変化させることで様々な次元性を有する半導体領域の構築が容易に可能であることが明らかとなった。また、有機層へのフォトクロミック発色団の導入、および、固相重合による共役系分子の導入の可能性が示唆された。今後はこれらの系の光学特性の評価を行う予定である。さらに、層状ぺロブスカイト型化合物薄膜の作製法の新たな展開として、Langmuir-Blodgett(LB)法を用いて、臭化鉛層状ペロブスカイト型化合物の薄膜化を試みた。その結果、臭化鉛とメチルアミン臭化水素酸塩を溶かした水相上にドコシルアミン臭化水素酸塩単分子膜を展開し、LB法で積層することで、臭化鉛系層状ペロブスカイト薄膜が作製できることを見出した。

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