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平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 317
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「量子効果等の物理現象」平成8年度採択研究代表者
「量子構造を用いた遠赤外光技術の開拓と量子物性の解明」

小宮山 進1)
1) 東京大学大学院総合文化研究科 教授
Abstract:  電磁波の中で波長が数10μmから1mmにかけての遠赤外·ミリ波帯域は、固体の格子振動、半導体の不純物準位およびガス分子の振動·回転準位に対応する。そのため、固体物理·分子科学·電波天文学等の広い分野で重要なスペクトル領域をなしている。特に、半導体量子構造では、人工的に生成される電子準位の多くがこの領域に対応するため、その研究は極めて重要である。ところが、この領域での研究は、可視·近赤外光領域やマイクロ波領域に比べて実験技術的に難しい。本研究では半導体量子構造を利用して遠赤外光技術を大きく進展させること、さらにそれに関連して半導体量子構造の微視的理解を深める事を目的にしている。具体的には(1)量子構造を用いた超高感度分光検出器の開発、とくに量子ドットを用いた単一遠赤外光子検を目指す研究。(2)開拓した遠赤外光技術を量子ドットや量子ホール系の研究に適用することによって、励起状態のスペクトルと緩和および非平衡状態にある電子系についての微視的な理解を深める研究。(3)量子ホール電子系の位相干渉性に着目した研究を行っている。特に、(1)に関しては平成10年度末に遠赤外単一光子の検出に成功したので、平成11年度はその基本的機構(励起電子の再結合寿命、励起スペクトル等)をより明確にする研究を中心に行った。今後、さらに異なる機構による検出機構を開拓する事によって波長範囲を格段に広げ、検出光学系の開拓とも合わせ, 遠外光·ミリ波検出技術の真のブレークスルーにつなげたい。

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