TOP > 巻一覧 > 目次一覧 > 書誌事項


平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 306
[PDF (333K)] [引用文献


「量子効果等の物理現象」平成8年度採択研究代表者
「金属微細トンネル接合システムの物理と素子への応用」

大塚 洋一1)
1) 筑波大学物理学系 教授
Abstract:  本研究の目的は、微小トンネル接合で生じる個々の電子の間歇的なトンネルによる輸送(単一電子トンネル現象)における新しい物理現象を、応用を視野に入れつつ、探索し検証することである。微小トンネル接合研究グループでは、·微小トンネル接合作製技術の開発、·基本素子である単一接合や単電子トランジスタにおけるトンネル素過程の物理を中心とした研究、·電子素子や回路への応用の各側面から研究を、またこれとは別に、量子カオス研究グループでは量子カオスとエネルギー準位に関する理論的研究をそれぞれ進めてきた。微小トンネルグループは平成11年度において、·超伝導単一クーパー対箱におけるラビ振動の観測、·超伝導トンネル接合2次元配列における散逸による超伝導絶縁体転移と相図の決定、·微小超伝導リングにおけるリトル·パークス振動の減少の発見、·静電容量によって結合した微小Josephson接合列における完全度の高い電流ミラー効果の発見、強誘電体とSETを組み合わせた不揮発メモリの提案、アルミニウムを用いたSETの室温動作の成功などの研究成果をあげた。また、量子カオス研究グループでは、不純物散乱に由来するユニバーサルなゆらぎに関し、外場がある場合の解を得て、二準位の量子ホール系、超伝導渦糸中の励起準位に応用することによって新しい知見を得た。

[PDF (333K)] [引用文献

Copyright(c)2000 科学技術振興事業団