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平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 29
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「生命活動のプログラム」平成7年度採択研究代表者
「個体老化の分子機構の解明」

鍋島 陽一1)
1) 京都大学大学院医学研究科 教授
Abstract:  挿入突然変異によって早期老化症状を呈するKlothoマウスを樹立した。多彩な老化症状は単一遺伝子の欠損に起因しており、原因遺伝子Klothoを同定した。Klotho遺伝子は新規の1型膜蛋白質をコードしており、その発現は腎臓で高く、弱い発現が中枢神経系で観察された。骨、皮膚、胃などの強い変異症状が観察される臓器で、Klotho遺伝子の発現が観察されず、Klotho蛋白の機能を伝える液性因子の存在が示唆された。ヒト相同遺伝子は同様の1型膜蛋白質と分泌型蛋白質をコードしている。また、アミノ酸配列中にKKRK配列が認められ、蛋白合成後にプロセシングにより分泌される可能性も考えられる。Klothoがターゲット組織、分子に結合し、機能していることが推定されるが、Klothoがb-Glucosidaseに相同性が高いことから、酵素活性によって不活性分子の活性化に関わる可能性が推定される。これらの事実からklothoマウスにおける老化関連症状、特に循環器、呼吸器、骨疾患についての詳細な解析と、Klotho蛋白の存在様式と機能の解明を課題として以下の課題を取り上げた。
1)Klotho蛋白の存在様式、結合蛋白について
2)Klotho蛋白の酵素活性について
3)Klotho蛋白の機能ドメインについて
4)nullノックアウトマウスの作製について
5)老化疾患の発症に関連する遺伝子カスケード、遺伝子素因の解析について
6)klotho遺伝子の発現について
7)Klothoマウスの変異表現型をレスキューする食餌について
8)ヒトklotho遺伝子と多型と老化関連疾患について
9)第2のklotho遺伝子;bklothoの分離について
10)Klotho変異マウスの新たな変異表現型の解析
11)Klotho変異マウスの肺の変化について
12)Klotho変異マウスの骨の異常について

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