| 「量子効果等の物理現象」平成7年度採択研究代表者 「STM発光分光法と近接場光学分光法による表面極微細構造の電子物性の解明」
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| | | Abstract: 本研究プロジェクトの主なねらいは、走査型トンネル顕微鏡(STM)や近接場光学顕微鏡(SNOM)などを用い、固体表面に形成した極微細構造、表面吸着分子系や完全に孤立した微粒子などの電子·光物性を分光学的手法によって探索し、解明することにある。表面微細構造や微粒子を1つ1つ識別して特定の微細ターゲットの分光計測をするところにこのプロジェクトの新規性と特長がある。さらに、STM発光分光と短パルスレーザー励起電子トンネル現象を組み合わることにより、原子スケール空間分解能に加えてピコ秒レベルの時間分解も可能な分光計測系を構築することも大きなねらいの1つである。平成9年度までに計測システムの設計、構築、調整などの準備作業を完了し、平成11年度にはフルタイムで所期計画に沿った実験を進めた。 主な成果を挙げると、 (1)半導体量子井戸構造において、井戸幅、不純物濃度などの揺らぎによって井戸内の異なる位置でスペクトル幅が変化することを見つけた。 (2)超伝導体間のクーパーペア·トンネルによる可視発光を初めて観測した。 (3)光ファイバーを使ったレンズ系より効率の高い集光系の実用化に成功した。 (4)微小共振器とこれに接する光学系との間でのモード間結合を理解するための簡単な指針を見出し、実験·数値計算両面から実証した。 (5)表面プラズモンを用いた微小光学回路素子の基本的な動作特性を調べた。 (6)磁場印加可能な低温磁気力顕微鏡を作製し、磁気リラクサーの磁化構造を観察することに成功した。 | | | |