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平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 248
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「生体防御のメカニズム」平成9年度採択研究代表者
「造血幹細胞の分化と自己複製の制御機構」

中内 啓光1)
1) 筑波大学基礎医学系 教授
Abstract:  ヒトの造血幹細胞を試験管の中で培養·増殖させることが骨髄移植や造血幹細胞を標的とした遺伝子治療を容易に行うために必要であるが、現時点ではこれは困難である。そこで本研究チームは未だ免疫系が未発達なブタの胎仔にヒトの造血幹細胞を移植してヒトの血液を産生するブタを作り出すことを考えた。母親ブタの子宮を介してブタ胎仔にヒト臍帯血を移植した後、生まれてきたブタ新生仔を調べると、ヒトの血液を産生しているブタが存在することが確認された。現時点ではまだブタの血液細胞に比してヒト血液細胞の占める割合は低いものの、さらに詳しく条件を検討することによりブタの体内でヒト造血幹細胞を増殖させることが可能になるかもしれない。加えて、これらのブタはヒト細胞に対して免疫寛容となっていると考えられ、血液だけでなく肝臓など、ヒトの他の臓器を移植して再生させたり、保存しておくことも将来的に考えられる。

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